さるちゃんのズバッと結論
「変動と固定、結局どっちが得?」に断定の答えはないよ。変動金利は日銀の政策金利に連動する短期プライムレート、固定金利は10年国債利回りなどの長期金利に連動していて、そもそも参照してる金利が別物だからだ。2026年に入って日銀は利上げを続けていて、この先も上がるかは誰にも断定できない。だから「得かどうか」より「金利が上がっても家計が耐えられるか」で選ぶのが現実的だとボクは思う。

「住宅ローンは変動金利と固定金利、結局どっちが得なんですか?」――ボクは金融ITの現場でシステムに関わる仕事をしているサルだけど、住宅ローンの話になると必ずと言っていいほどこの質問が飛んでくる。結論から先に言うと、「絶対にこっちが得」と言い切れる答えは存在しない。この先の金利がどう動くかは、日銀の総裁でさえ会合のたびに"様子見"を口にするくらい不確実だからだ。この記事では、変動金利と固定金利それぞれの金利が決まる仕組み、メリットとリスク、そして金利が上がった場合に返済額がどう変わるかを具体的な試算とともに整理する。特定の金融機関や住宅ローン商品をおすすめする話ではなく、あくまで仕組みを理解して自分に合う判断軸を持つための整理だと思ってほしい。

変動金利と固定金利の仕組みの違い

変動金利型の住宅ローンは、多くの銀行で「短期プライムレート」と呼ばれる、銀行が優良企業に短期融資する際の最優遇金利を基準に決められている。短期プライムレートは日本銀行(日銀)が決める政策金利の影響を強く受けるため、日銀が利上げをすると、数か月ほど遅れて変動金利にも反映されやすい。実際、日銀は2025年12月の金融政策決定会合で政策金利を年0.5%から0.75%に、2026年6月16日の会合ではさらに1%程度まで引き上げており、いずれも約31年ぶりの高水準となった。2026年4月の会合では政策金利は0.75%に据え置かれたが、政策委員の一部からは1.0%程度への引き上げ案も出ており、植田総裁も次の利上げの可能性を明確には否定していない。こうした流れを受けて、多くの銀行では2026年10月をめどに変動金利を一斉に年0.25%程度引き上げる展開が有力なシナリオとして報じられている。

一方、フラット35に代表される固定金利型の住宅ローンは、10年物国債の利回りなど「長期金利」の影響を強く受ける。長期金利は日銀の金融政策だけでなく、将来の物価見通しや財政に対する市場の見方など、より広い要因で動く。住宅金融支援機構が発表しているフラット35の金利(融資率9割以下・返済期間21〜35年)は、2026年1月時点の最低金利が年2.08%だったのに対し、2026年7月時点の最低金利は年3.14%まで上昇している。この背景には、フラット35の原資となる機構債の調達コストが上がり、一時「逆ザヤ」と呼ばれる状態(調達コストが貸出金利を上回る状態)まで生じたことがあるとされる。

変動金利 日銀の政策金利 (短期金利の指標) 短期プライムレート (銀行の優遇金利) 変動金利型ローン 数か月遅れで反映されやすい 固定金利 長期金利 (10年国債利回りなど) フラット35など (資金調達コストを反映) 固定金利型ローン 借入時点で返済額が確定 参照する金利の"種類"そのものが違う

つまり、変動金利は「短期金利=日銀の政策金利」に、固定金利は「長期金利=将来予測込みの市場金利」に連動しているというのが最大の違いだ。この仕組みを知らずに金利の数字だけを比較すると、「今は変動の方が○%も低いから得」という単純な話に見えてしまう。だが実際には、金利が固定される期間の長さそのものに対する"保険料"のような性格が固定金利には含まれている、という見方もできる。

それぞれのメリット・リスク

仕組みの違いを踏まえると、変動金利と固定金利のメリット・リスクは表裏一体になっていることがわかる。以下の表に整理した。

変動金利固定金利(フラット35など)
金利水準の目安(2026年7月時点)おおむね年1%前後フラット35の最低金利は年3.14%
連動する金利短期プライムレート(日銀の政策金利の影響が大きい)長期金利(10年国債利回りなど)
メリット当初の返済額を低く抑えやすい。金利が上がらなければ総返済額も少なくて済む完済まで返済額が変わらない安心感。長期の資金計画が立てやすい
リスク金利上昇局面では返済額が増える可能性がある。5年ルール・125%ルールがあっても未払利息が発生することがある借入時点の金利が変動金利より高めに設定されやすい。その後金利が下がっても恩恵を受けられない
向いていると言われやすいケース返済期間が比較的短い、繰り上げ返済で早期完済を目指す、金利上昇分を吸収できる家計の余力がある返済期間が長い、教育費など将来の支出増が見込まれる、返済額を先に確定させたい

なお、フラット35と民間銀行が独自に提供する固定金利型ローンは別物だ。フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する商品で、保証料が不要といった特徴がある一方、民間銀行の固定金利型ローンは金融機関ごとに金利や手数料の設計が異なる。「固定金利」とひとくくりにせず、どの商品を指しているかを確認する姿勢が大事になる。

さるちゃんの本音
「みんな変動を選んでるから自分も変動でいいや」――これ、仕組みを飛ばして結論だけ真似する一番危ないパターンだとボクは思う。変動金利を選ぶ人が多いのは事実だけど、それは「今の金利が低いから」であって「この先も上がらないと保証されてるから」じゃない。日銀は2026年に入ってからも利上げを重ねてる。金利がどっちに転ぶかは誰にも断定できないからこそ、自分の家計が金利上昇にどこまで耐えられるかを先に考えるべきなんだよ。

金利が上がった場合の返済額シミュレーション

具体的な試算例

言葉で「リスクがある」と言われてもピンと来ないと思うので、具体的な数字で試算してみる。以下はあくまで一定の前提を置いた試算例であり、特定の金融機関の実際の金利や審査結果を保証するものではない点に注意してほしい。

試算の前提条件
・借入額:3,500万円
・返済期間:35年
・返済方式:元利均等返済(ボーナス払いなし)
・比較するシナリオ:①変動金利0.5%が35年間ずっと変わらなかった場合/②変動金利0.5%が5年後に1.5%へ上昇した場合/③変動金利0.5%が5年後に2.5%へ上昇した場合/④固定金利3.2%が35年間ずっと変わらなかった場合

この前提で毎月の返済額を計算すると、次のようになる。

シナリオ当初(1〜5年目)の月々返済額6年目以降の月々返済額総返済額の目安(概算)
①変動0.5%が35年間変わらない90,855円90,855円のまま約3,816万円
②変動0.5%→5年後1.5%に上昇90,855円104,803円(+13,948円/月)約4,318万円
③変動0.5%→5年後2.5%に上昇90,855円本来は119,986円だが125%ルールで113,569円が上限約4,865万円相当+未払利息
④固定3.2%が35年間変わらない138,634円138,634円のまま約5,823万円
90,855円 ①変動0.5% 維持 104,803円 ②5年後1.5% に上昇 113,569円 ③5年後2.5% (125%上限) 138,634円 ④固定3.2% 維持

②のように5年後に1%ポイント金利が上がった場合、月々の返済額は13,948円増え、総返済額は①のケースより約500万円多くなる計算だ。③のように2%ポイント上がった場合、本来の計算上は月々119,986円まで増えるはずだが、多くの変動金利型ローンには「5年ルール」と「125%ルール」があり、返済額の急激な増加を抑える仕組みが備わっている。5年ルールは、金利が上がっても5年間は毎月の返済額を変えないというルール、125%ルールは6年目以降の見直し時にも従前の返済額の125%を超えないようにするルールだ。今回の試算では、当初の返済額90,855円の125%は113,569円となるため、本来の119,986円との差額である6,417円/月分は「未払利息」として繰り越される。未払利息は返済額の中でカバーしきれなかった利息分であり、最終的に完済時までに解消されなければ、まとめて一括請求される可能性がある。つまり5年ルール・125%ルールは返済額の急上昇を"先送り"する仕組みであって、金利上昇の負担そのものをなくしてくれるわけではない。

さるちゃんの本音
「5年ルールがあるから変動でも安心」ってよく聞くけど、それ半分正解で半分ミスリードだとボクは思う。ルールが守ってくれるのは"返済額が急に跳ね上がること"だけで、"金利上昇分の負担そのもの"は消えてない。未払利息という形で後ろにツケが回るだけのケースもある。仕組みを知らずに「ルールがあるから大丈夫」で思考停止するのが一番危ない。

どちらを選ぶかの判断軸

返済期間

返済期間が短いほど、金利が変動する影響を受ける期間そのものが短くなる。たとえば繰り上げ返済などを積極的に行い、10〜15年程度で完済を目指せるのであれば、金利上昇局面が到来する前に返済を終えられる可能性が高まり、当初の金利が低い変動金利のメリットを活かしやすい。逆に35年フルで借りる前提であれば、その間に日銀の金融政策が何度も転換する可能性があり、金利変動の影響を受ける期間も長くなる。返済期間をどう設計するかは、変動・固定の選択と同じくらい重要な判断軸になる。

家計の金利上昇耐性

もう一つの軸は、「金利が上がったときに家計がどこまで耐えられるか」だ。前述の試算例で言えば、月々の返済額が13,948円増えても他の支出を調整できる家計と、90,855円という当初の返済額自体がすでにギリギリの家計とでは、同じ変動金利を選んでも意味合いがまったく違う。目安としては、①金利上昇時の返済額増加分を貯蓄や他の支出見直しで吸収できるか、②教育費や親の介護費など将来増える可能性がある支出をあらかじめ織り込めているか、③繰り上げ返済に回せる余力があるか、といった点をシミュレーションしておくと判断しやすい。逆に、返済額を確定させて家計管理をシンプルにしたい、金利上昇局面のストレスを避けたいという場合は、当初の金利が高めでも固定金利を選ぶ合理性がある。どちらが「得」かではなく、どちらが自分の家計の設計に合っているかで考えるのが現実的だ。

よくある質問

Q1. 変動金利は本当にリスクが高いのですか?

A. 金利が上昇すれば返済額が増えるリスクがある一方、低金利が続けば総返済額を抑えられる可能性もある。「リスクが高い/低い」を一概に断定はできず、金利がこの先どう動くか次第という点がポイントだ。

Q2. 固定期間選択型とは何ですか?

A. 一定期間(たとえば3年・5年・10年など)だけ金利を固定し、その期間が終了した後に改めて変動金利にするか、再度固定金利を選ぶかを選択できるタイプの住宅ローンだ。当初の固定期間中は返済額が確定するが、期間終了後の金利水準は借入時点ではわからない。

Q3. 5年ルール・125%ルールがあれば、金利が上がっても安心と言えますか?

A. 完全に安心とは言えない。これらのルールは返済額の急激な増加を一定期間抑える仕組みであって、金利上昇分の負担そのものをなくすものではない。返済額に反映しきれなかった利息は「未払利息」として繰り越され、最終的に一括で請求される可能性がある点に注意が必要だ。

Q4. フラット35と民間銀行の固定金利は何が違いますか?

A. フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利型のローンで、保証料が不要といった特徴がある。一方、民間銀行が独自に提供する固定金利型ローンは、金利水準や手数料、固定期間の設計が金融機関ごとに異なる。「固定金利」と一括りにせず、どちらの商品を比較しているかを確認することが大切だ。

Q5. 借り換えは金利上昇対策になりますか?

A. 借り換えによって金利タイプや金利水準を見直せる可能性はあるが、手数料や諸費用がかかるうえ、借り換え後の金利が必ず有利になるとは限らない。効果があるかどうかは個々の借入条件や借り換え時点の金利情勢によって異なるため、一般論として「対策になる」と断定することはできない。

出典・参考データ

この記事を書いたサル: さるちゃん
金融ITの現場で働くエンジニア。基本情報技術者・簿記2級・証券外務員一種ほか、働きながら資格を取ってきた実体験と、世界のデータをもとに「ズバッと分かる」解説をお届け。→ さるちゃんって何者?(プロフィール)