結論から言うと、「実質賃金が上がらない」のは日本だけの現象じゃない。G7の多くの国も、直近数年はインフレに賃上げが追いつかず苦しんでる。でもね、日本はその中でもずっと下位グループ。しかも過去30年という長いスパンで見ると、他国とは差が一段違うレベルで開いてる。「みんな苦しいから日本も普通」で終わらせちゃダメな数字だと、ボクは思うよ。
「実質賃金が上がらない」ってニュース、ここ数年やたら見かけるよね。ボクも金融IT企業で働くしがないエンジニアザルだけど、給与明細見ながら「あれ、額面は増えてるのに手取りの実感が伴わない…」って毎回モヤッとしてる。
で、よく聞かれるのが「これって日本だけの話?世界的にそうなの?」って疑問。今日はこれを、感覚じゃなくてG7各国の実際のデータで白黒つけていくよ。結論を先に言っちゃったけど、ここからは中身をちゃんと見ていこう。
実質賃金とは何か(おさらい)
まず用語の整理から。ニュースで見る「賃金」には大きく2種類ある。
- 名目賃金:実際に受け取る金額そのもの。物価の変動は考慮しない、額面の数字。
- 実質賃金:名目賃金から物価変動の影響を差し引いた、実際の購買力を表す数字。「実質賃金指数=名目賃金指数÷消費者物価指数×100」というのが基本の考え方。
名目賃金との違い
たとえば額面の給料が去年より2%増えたとする。これだけ聞くと「やった、昇給だ」と思うよね。でも同じ期間に物価が3%上がっていたら、実質的には1%分、生活が苦しくなっている計算になる。つまり名目が増えていても、実質はマイナスということが普通に起こる。日本で「賃上げしたはずなのに生活が楽にならない」という声が絶えないのは、まさにこの名目と実質のギャップが原因なんだ。
実際、日本の実質賃金指数は2025年も前年比マイナス1.3%となり、4年連続のマイナスが続いている(労働政策研究・研修機構(JILPT)調べ)。名目の給与額は増えているのに、物価上昇がそれを上回り続けているというのが、いまの日本の状況だよ。
G7各国の実質賃金推移比較
ここからが本題。「日本だけが特殊なのか、それともG7全体が苦しいのか」を、実際のデータで確認していこう。
表:2019-2023年の実質賃金変化率比較
OECDのデータをもとにしたBusiness Insider Japanの報道(2025年3月)によると、2019年から2023年にかけて、インフレ調整後の実質賃金がプラスだったG7国は米国とカナダの2か国のみ。日本を含む他の国は軒並みマイナスという結果だった。確認できた具体的な数値は以下の通り。
| 順位 | 国 | 実質賃金変化率(2019→2023年) |
|---|---|---|
| 1位 | 米国 | +5.2% |
| 2位 | カナダ | +3.6% |
| 6位 | 日本 | -3.8% |
| 7位 | イタリア | -5.7% |
※英国・ドイツ・フランスも同期間のインフレに賃上げが追いつかずマイナス圏だったと報じられているが、本記事執筆時点で3か国それぞれの正確な変化率を明記した一次情報は確認できなかったため、数値の記載は上記4か国にとどめている。3位〜5位はこの3か国のいずれかに該当する。
正直「日本も含めてみんな苦しい」って部分だけ切り取ると、ちょっと安心しちゃいそうになるよね。でも見てほしいのは順位。G7中6位ってことは、日本より悪いのはイタリア1か国だけ。「みんな一緒」じゃなくて「下から2番目」ってのが実態だよ。ここ、ニュースだと意外とぼかされがちだからさるちゃんはハッキリ言っておく。
この2019〜2023年という短期スパンだけでも十分厳しい結果だけど、もう少し長い期間で見ても同じ傾向は変わらない。次はOECDの平均賃金統計(購買力平価ベース)をもとに、2000年から2022年という22年間でG7各国を比較したデータを見てみよう。
| 国 | 2000年 | 2022年 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| カナダ | $46,526 | $59,050 | +26.9% |
| 米国 | $61,132 | $77,463 | +26.7% |
| フランス | $43,694 | $52,764 | +20.8% |
| 英国 | $44,967 | $53,985 | +20.1% |
| ドイツ | $51,344 | $58,940 | +14.8% |
| イタリア | $45,290 | $44,893 | -0.9% |
| 日本 | $41,428 | $41,509 | +0.2% |
※購買力平価(PPP)調整済み、2021年価格ベースの数値。出典:OECDデータをもとにしたVisual Capitalistの集計。
※日本(+0.2%)とイタリア(-0.9%)以外はいずれもプラス2桁成長。日本のバーがほぼ見えないほど小さいのは誇張ではなく、実際にこの22年間の伸びがそれだけ小さかったということだよ。
長期(1991-2020年)で見た日本の特異性
直近20〜30年の話をしたけど、もっと長いスパンで見るとどうなるか。内閣官房「新しい資本主義実現会議」の基礎資料(令和7年4月公表、OECD.Statに基づく)では、1991年を基準とした名目賃金の推移が示されている。
名目・実質ともに他国と大きな差
この資料によると、1991年から2023年にかけて、名目賃金は米国が2.88倍、英国が2.87倍に伸びている一方、日本は1.02倍とほぼ横ばい。30年以上経っても、日本の名目賃金は当時とほとんど変わっていないという計算になる。
同じ資料や、OECDデータをもとにした複数の集計では、実質賃金で見ても1991年を100とした指数で、ドイツ・フランスはおよそ3割増、米国・英国は5割増に近い水準まで伸びているのに対し、日本はほぼ100のまま横ばいという傾向が示されている。名目でも実質でも、日本だけ「30年以上ほとんど動いていない」という状態が続いているわけだ。
もう少し身近な数字でも確認しておこう。OECDの平均賃金統計(購買力平価ベース)によれば、日本の平均賃金は1990年の36,879ドルから2020年には38,515ドルへと、30年間でわずか4.4%の増加にとどまっている。同時期、米国をはじめとする他のG7諸国は軒並み1万ドル以上の増加を記録している。
2.88倍とか2.87倍って数字、正直ボクも最初「盛ってない?」って二度見したよ。でも複数の資料で同じ水準の数字が出てくるから、これはもう誤差の範囲じゃない。30年で約3倍になった国と、1.02倍でほぼ据え置きの国。この差は「景気が良い悪い」で片付けられるレベルじゃなくて、賃金の決まり方そのものが違うんじゃないかって疑うべき差だとボクは思う。
なぜ日本だけ低いのか(ここからは解釈)
ここまでは確認できたデータの話。ここからは、なぜこんな差がついたのかという「解釈」の話になる。専門家の間でも単一の原因に断定されているわけではなく、複数の要因が組み合わさって今の状況を作っていると指摘されていることを前提に読んでほしい。
デフレ経済の長期化など複数要因
- 長期デフレの影響:物価が上がらない(むしろ下がる)時期が長く続いたことで、企業側も賃上げに踏み切る必要性・余力を感じにくかったという指摘がある。
- 企業の賃上げ慣行・内部留保志向:業績が改善しても、まず賃上げより内部留保や株主還元を優先する企業行動が定着したという見方がある。
- 非正規雇用の拡大:相対的に賃金水準の低い非正規雇用の比率が上がったことで、平均賃金全体が押し下げられた面があるとされる。
- 労働市場の流動性の低さ:転職による賃上げが他国ほど一般的でなく、企業間の賃金競争が働きにくかったという指摘もある。
これらはあくまで「よく指摘される要因」であって、どれか一つが「真犯人」というわけではない。ボクも一エンジニアとして現場にいるからこそ思うけど、原因を一つに決めつけて誰かを悪者にするより、「複数の構造が絡み合っている」と捉えるほうが実態に近いはずだよ。
生活者への影響
実質賃金が伸び悩むということは、単純に言えば「同じ額面の給料で買えるものが減っていく」ということ。食料品や光熱費など生活必需品の値上がりが続く中で、給料の伸びがそれに追いつかなければ、家計の余裕は目減りしていく一方になる。
ここで強調しておきたいのは、これは個人の頑張りが足りないから起きていることではないという点。G7全体で見ても賃上げがインフレに追いつかない国が多数派である以上、個々の労働者の努力うんぬんより、賃金がどう決まり、どう分配されるかという構造の問題として捉えるべきだとボクは考えている。なお、この記事は現状データの整理が目的であり、資産運用や投資判断についてのアドバイスは行っていない。家計防衛の方法は人それぞれの状況によって最適解が違うので、専門家に個別相談することをおすすめするよ。
よくある質問
Q1. 実質賃金が上がっている国もあるのですか?
A. ある。OECDのデータでは、2019年から2023年の期間で米国が+5.2%、カナダが+3.6%と、インフレ調整後でも賃金が実質的に増えている。この2か国以外のG7諸国は、程度の差はあるがこの期間はマイナス圏だったと報じられている。
Q2. なぜ日本だけこれほど差がついたのですか?
A. 長期デフレ、企業の内部留保志向、非正規雇用の拡大、労働市場の流動性の低さなど、複数の要因が指摘されている。専門家の間でも単一の原因に断定されているわけではなく、これらが絡み合った結果と考えるのが実態に近い。
Q3. 名目賃金と実質賃金、どちらを見ればいいですか?
A. 生活実感に近いのは実質賃金。名目賃金がいくら増えても、物価上昇がそれを上回れば生活は楽にならない。ニュースで賃上げ率を見るときは、その年の物価上昇率と合わせて確認するのがおすすめだよ。
Q4. 直近(2025年)の実質賃金はどうなっていますか?
A. 労働政策研究・研修機構(JILPT)によると、2025年の実質賃金指数は前年比マイナス1.3%となり、4年連続のマイナスとなっている。名目の給与総額自体は増えているものの、物価上昇がそれを上回る状態が続いている。
出典・参考データ
- 内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局「基礎資料」(令和7年4月23日)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai33/shiryou1.pdf
- Business Insider Japan「G7のほとんどの国は、過去5年「実質賃金」が下がり続けている。日本も-3.8%で7カ国中6位」(OECDデータに基づく、2025年3月)https://www.businessinsider.jp/article/2503-wages-in-the-us-outpace-other-g7-nations-inflation/
- Visual Capitalist「Charted: Average Wage Growth in G7 Countries (2000-2022)」(OECDデータに基づく)https://www.visualcapitalist.com/charted-average-wage-growth-in-g7-countries-2000-2022/
- 労働政策研究・研修機構(JILPT)「2025年の実質賃金指数の前年比はマイナス1.3%で、4年連続のマイナスに」(ビジネス・レーバー・トレンド 2026年4月号)https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2026/04/kokunai_01.html
- 労働政策研究・研修機構(JILPT)「多くの国で実質賃金が下落「OECD雇用見通し2023」」https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/08/oecd_01.html
- FPcafe「Mocha」「世界の平均賃金ランキング、1位はアメリカ。日本は何位?」(OECD Average wage統計に基づく)https://fpcafe.jp/mocha/2784
金融ITの現場で働くエンジニア。基本情報技術者・簿記2級・証券外務員一種ほか、働きながら資格を取ってきた実体験と、世界のデータをもとに「ズバッと分かる」解説をお届け。→ さるちゃんって何者?(プロフィール)

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