さるちゃんのズバッと結論
中身の考え方(たくさんの資産をまとめて持つ器)は同じ。違うのは「取引所に上場しているかどうか」の一点で、そこから売買方法・価格の決まり方・コストの形が枝分かれする。ETFは株と同じようにリアルタイムで売買でき、投資信託は1日1回の基準価額で取引される。どっちが優れているという話ではない。

どうも、金融ITの現場で働くサル、さるちゃんです。「投資信託 ETF 違い」で調べると、いきなり「ETFのほうが信託報酬が安い」みたいな比較から始まる記事が多い。でもね、それは結果であって理由じゃない。遠回しはナシだ。ズバッといくよ。

この記事では、日本取引所グループ(JPX)と投資信託協会という公式の情報源に書いてある内容だけを使って、両者の違いを仕組みから整理する。特定の商品は一切すすめないし、どっちを買うべきかも決めない。判断材料だけ置いていく。

結論:「器」は同じ、「売り場」が違う

まず大前提から。投資信託は、多くの投資家から集めたお金をまとめて運用し、その成果を分け合う仕組みだ。そしてETF(Exchange Traded Fund)は、投資信託協会の説明によれば「証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託」。つまりETFは投資信託の一種で、対立する別ジャンルではない。

違いは「上場しているかどうか」から生まれる。上場しているということは、株と同じ売り場(取引所)に並ぶということだ。JPXも「ETFは取引所に上場していますので、通常の投資信託とは異なり、リアルタイムで変動する市場価格でお取引いただけます」と説明している。この一点が、以降のすべての違いの出発点になる。

売買の流れが違う 一般的な投資信託(非上場) あなた 販売会社(証券・銀行) 運用会社 価格は 1日1回の 基準価額 注文時点では価格が確定していない ETF(上場投資信託) あなた 証券会社 取引所(他の投資家と売買) 価格は リアルタイムの 市場価格 成行・指値で値段を指定して注文できる

違い1:価格の決まり方と、注文のタイミング

一般的な投資信託は、その日の取引が終わってから資産を評価し、1日1回だけ基準価額が算出される。だから注文するときは値段が分からない。JPXの比較表でも、通常の投資信託の発注方法は「基準価格がわからない状況で購入・換金」と表現されている。

一方ETFは、取引所の立会時間中ならリアルタイムで値段が動き、株式と同じく成行・指値で注文できる。「この値段以下なら買う」という指定ができるわけだ。

ここで注意してほしいのが、ETFには基準価額と市場価格という2つの価格があること。JPXは「その市場価格は需給状況によって変動するため、基準価額等と市場価格の値動きが一致しない場合もあります」と明記している。とくに投資対象が海外市場で、その市場が休場しているときなどは、乖離が広がったまま続くことがあるとも説明されている。

「上場していて自由に売買できる」ことの裏返しとして、需給によって理論値からズレうる。これはETF特有の論点で、非上場の投資信託にはない性質だ。

違い2:買える場所

投資信託は、その商品を取り扱っている販売会社(証券会社や銀行)でしか買えない。同じファンドでも、A銀行では買えてB銀行では買えない、ということが普通に起きる。JPXの比較表でも、通常の投資信託の販売会社は「特定の取扱証券会社、銀行」と書かれている。

ETFは上場しているので、JPXの説明では「株式と同じように、全国の証券会社を通じて購入、売却が可能」。ただし銀行の窓口では買えない。どこで口座を持つかという話はNISA口座はどこで開くべき?仕組みで見る金融機関選びのポイントにまとめてあるので、そちらも参考にどうぞ。

違い3:コストの形

コストは「安い・高い」よりどこで何がかかるかで捉えたほうが正確だ。投資信託協会は、投資信託のコストを次の3つに整理している。

  • 購入時手数料:購入時に販売会社へ直接支払う。申込価額の数%。かからない「ノーロード」の商品もある。
  • 運用管理費用(信託報酬):保有している間、保有額に応じて日々かかる。信託財産から差し引かれるので、間接的な負担になる。年率が目論見書に記載されている。
  • 信託財産留保額:解約時などに差し引かれ、販売会社ではなく信託財産に残るお金。差し引かれない商品もある。

ETFの場合、JPXの説明では投資家が負担するコストは2つ。売買時に証券会社へ払う手数料(株式と同様)と、信託報酬だ。信託報酬は「あらかじめ運用会社により年率で定められ、日割り計算した割合で日々信託財産から差し引かれ」るとされている。

コストがかかる「場所」の違い 出典:投資信託協会「投資信託のコスト」、JPX「よくあるご質問(上場商品)」 投資信託 購入時手数料 信託報酬(日々) 信託財産留保額 ※無料の商品も ※信託財産から控除 ※ない商品も ETF 売買委託手数料 信託報酬(日割り) 売買委託手数料 ※買うとき ※信託財産から控除 ※売るとき 購入 購入 解約 売却

信託報酬の水準について、JPXは「ETFの信託報酬は、非上場の公募投信に比べて一般的に低い水準となっています」と説明している。JPXが公開している比較表では、ETFが0.060%〜0.950%、通常の投資信託が0.100%〜1.650%という数字が挙げられている。

比較項目ETF(上場投資信託)一般的な投資信託(非上場)
販売会社全国の証券会社特定の取扱証券会社、銀行
取引価格リアルタイムで変動する市場価格1日1回算出される基準価額
取引可能時間取引所の立会時間販売会社が決める時間中
発注方法成行/指値価格が分からない状態で購入・換金
信託報酬(JPX集計)0.060%〜0.950%0.100%〜1.650%
信用取引可能不可能
最低投資金額の目安銘柄ごとの売買単位。多くは数千円〜数万円商品により少額の積立設定が可能

※信託報酬のレンジはJPXが「投信総合検索ライブラリー」からインデックス運用型の投資信託を集計したもので、同社サイトの当該ページは2017年8月更新の情報。実際の水準は商品ごとに異なる。

さるちゃんの本音
ここ、ちゃんと言っておきたい。この比較表の集計は2017年8月時点のものなんだよね。低コスト競争が進んだ今は、実際の水準はこのレンジと違っている可能性が高い。「公式が言ってるから今も正しい」とは限らない。数字はウソをつかないけど、ウソをつくのは数字の"鮮度"だ。最終的には、あなたが買おうとしている商品の目論見書に書かれた年率を見るしかない。

NISAではどちらも使えるのか

制度上の扱いも整理しておく。金融庁の説明によると、2024年からのNISAにはつみたて投資枠(年間120万円)成長投資枠(年間240万円)があり、併用すると年間360万円まで。非課税保有限度額は全体で1,800万円、うち成長投資枠は1,200万円が上限とされている。

対象商品は枠によって違う。つみたて投資枠は、信託期間20年未満・毎月分配型・デリバティブ取引を用いた一定の投資信託などが除外された商品が対象。成長投資枠は、整理・監理銘柄や同様の除外条件に当たるものを除いた投資信託とETFが対象になる。

つまり「ETFはNISAで買えるのか」の答えは、制度上は買える。ただし実際に買えるかどうかは金融機関の取り扱い次第で、対象商品のリストは金融機関ごとに違う。ここは口座を開く前に確認したいポイントだ。NISA自体の仕組みはNISA口座の記事で扱っている。

どちらが向いている?——条件で整理する

この記事では「どっちを買うべき」とは言わない。投資判断は人それぞれの事情によるし、ボクは助言できる立場にない。代わりに、公式情報から読み取れる条件の対応関係だけ並べておく。

  • 売買のタイミングを自分で決めたい → リアルタイム価格と指値が使えるのはETF側の特徴。
  • 毎月自動で同じ金額を積み立てたい → 少額での積立設定は非上場の投資信託のほうが対応している商品が多い。ETFは売買単位があるため、端数の調整が難しいケースがある。
  • 銀行の窓口で相談しながら買いたい → ETFは証券会社経由のみ。銀行では買えない。
  • コストをできるだけ抑えたい → 信託報酬はETFが一般に低めとされるが、売買のたびに委託手数料がかかる。頻繁に売買するなら合計コストは変わってくる。

要するに、「まとまった額を自分のタイミングで動かす人」と「少額を淡々と積み上げる人」で、相性のよい器が違うということだ。買い方の考え方についてはドルコスト平均法とは?メリットと注意点分散投資とは?「卵は一つのカゴに盛るな」の意味もあわせてどうぞ。元本の扱いが気になる人は個人向け国債は元本割れしない?も読んでおくと、リスクの位置関係が見えやすくなる。

よくある質問

ETFは投資信託とは別の商品ですか?

別ジャンルではない。投資信託協会はETFを「証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託」と定義している。つまりETFは投資信託の一種で、上場しているタイプのもの、という関係になる。

ETFの価格は基準価額と一致しますか?

一致しないことがある。JPXは、ETFの市場価格は需給状況によって変動するため、基準価額等と市場価格の値動きが一致しない場合があると説明している。とくに投資対象の海外市場が休場している場合などは、設定・交換が止まることで乖離が続くことがあるとされている。取引の前に各管理会社の公表情報も確認したい。

どちらがコストは安いのですか?

信託報酬はETFが一般的に低い水準とJPXが説明している。ただし投資家が負担するコストは信託報酬だけではない。ETFは売買のたびに証券会社への委託手数料がかかり、非上場の投資信託には購入時手数料や信託財産留保額がかかる商品もある。合計でいくらかかるかは、商品と売買回数によって変わる。

NISAではどちらも買えますか?

制度上は、成長投資枠で投資信託とETFの両方が対象になる(除外条件に該当するものを除く)。つみたて投資枠は、信託期間20年未満や毎月分配型などを除いた商品が対象。ただし実際に何を買えるかは金融機関の取り扱いによるため、口座を開く前に対象商品リストを確認するのが確実だ。

まとめ

もう一度整理する。ETFは投資信託の一種で、違いの出発点は取引所に上場しているかどうか。そこから、価格の決まり方(リアルタイムの市場価格か、1日1回の基準価額か)、買える場所(証券会社のみか、銀行も含むか)、コストの形(売買手数料+信託報酬か、購入時手数料+信託報酬+信託財産留保額か)という3つの違いが生まれる。

そして忘れてはいけないのが、ETFには市場価格と基準価額の乖離という固有の論点があること。「上場していて自由に売れる」ことの代償として、需給の影響を受ける。優劣ではなく、性質の違いとして押さえておきたい。数字を見るときは、必ず商品ごとの最新の目論見書で確認してほしい。

コストの差が長期でどれだけ効くのかを金額で試算した記事も用意した。0.1%の違いを20年分に引き伸ばすと何が起きるかは、信託報酬0.1%の差は20年でいくら?月3万円積立で試算で確認してほしい。

出典・参考データ

※本記事は制度と仕組みの解説であり、特定の商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。制度や手数料は改定される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。

この記事を書いたサル: さるちゃん
金融ITの現場で働くエンジニア。基本情報技術者・簿記2級・証券外務員一種ほか、働きながら資格を取ってきた実体験と、公式データをもとに「ズバッと分かる」解説をお届け。→ さるちゃんって何者?(プロフィール)